佐藤社長の継続OSS
記録事務代行(電子車検証書き換え)完了
公開日: 2023年01月24日 / 更新日: 2023年03月08日
本年2023年1月4日より、電子車検証の発行が開始され、私たち国土交通省の指定整備工場では、車検時に電子車検証の有効期間情報を書き換え、検査標章を印刷、発行することができる「記録事務代行サービス」が開始されました。
目次
継続検査ワンストップサービス(継続OSS)必須
国の指定整備工場で、車検時に従来紙で交付を行っていた、「保安基準適合証」。これが「保適証サービス(AIRAS)」を通じて電子化され、合わせて従来、継続検査申請書(OCRシート)と自動車重量税納付書(検査自動車)を用いて窓口へ提出し、車検証の更新を行っていた手続きを電子申請で行う事ができる「継続検査代理申請サービス(AINAS)」。
このAIRASとAINASの両方を活用することで、車検証の更新手続きにて、国土交通行政へ電子申請することを継続検査ワンストップサービス、通称「継続OSS」と呼んでいます。
詳細は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会のWEBサイト「日整連自動車情報サイト」をご確認下さい。
継続OSS申請は、スマート継続OSSシステム連携
今回は、株式会社ブロードリーフ社の自動車整備事業者向けクラウドサービス「Maintenance.c(メンテナンスドットシー)」より、、一般財団法人自動車検査登録情報協会が開発している「スマート継続OSSシステム」への「スマート継続OSSシステム連携」を活用し、継続OSS申請を行いました。
記録事務代行時は、区分を依頼人へ設定
記録事務代行時と通常の継続OSS申請と違うのは、「電子車検証更新区分」を「依頼人(申請個別指定)」を選択、記録等事務代行者委託番号の記載が必要となります。※お使いの整備業務ソフトによって、表記等が異なります。
進捗はAINAS(ブラウザ)でステータス確認
日頃は、整備業務ソフト上へ、各種ステータスがフィードバックされ、進捗状況を確認することができ、ブラウザでのAINASを確認するのは、エラー等や申請状況の詳細を確認する時なのですが、今回は書き換え可能になるまでのタイムラグを知るために、随時、ブラウザでステータスを確認しながら進めました。
AINASで私たち申請依頼人より代理人へと情報が渡され、遷移していきます。
申請ステータス「申請中」から、申請状況ステータス「申請受付処理中」など、代理人の操作により詳細なステータスで遷移していきます。
更新可能通知(書き換え通知)は継続OSS完了後、即時
始めに「検査登録手数料」ダイレクト納付中、次に該当する車両の場合は「技術情報管理手数料」まとめ払い中、その後に添付書類取得となり保安基準適合証取得と自賠責保険証取得、最後に該当する車両は、「自動車重量税」ダイレクト納付中から、「自動車検査証交付待ち」となり、間髪入れずに「記録事務代行アプリ」を確認(更新)したところ「書き換え可能」ステータスで当該車両が表示されました。
このことから、書き換え可能になる時間は、「継続OSS申請完了即時」となりますね。この状態になると「記録事務代行アプリ」から原則24時間書き換え可能となります。
余談ですが、AINASの年末年始の改修により、登録車も一覧画面でのOSSステータスが「交付完了」と「交付待ち」になり車検証が交付されたか、されていないか分かるようになりました。
記録事務代行でも作業が完了すると「交付完了」ステータスとなっていました。
アプリへのログインはマイナンバーカードまたはGビズID
「記録事務代行アプリ」へのログインは、弊社ではGビズIDアカウント(プライムまたはメンバーのみ、エントリーではログイン不可)でログイン出来るように予め設定を行っているので、アカウントIDとパスワード入力からの、私は「GビズID認証アプリ」をiPhoneで認証できるように紐付けてあり、ログインしました。FaceIDも使用出来て、便利です。
「記録事務代行アプリ」は、ログイン後一定の時間経過で、認証が切れてしまうため、再度ログインが必要になることもあります。
ホーム画面で書き換え状況を確認し、「書き換え作業を開始」より、画面の指示に従って進めていきます。
自動車検査証書き換え→検査標章印刷→帳票類印刷の順でわかりやすい遷移でした。
車検証の書き換え自体は、1,2秒くらいでリーダーライターに置き、完了することができました。ここで注意が必要なのは、あくまでも画面の指示をよく確認することで、リーダーライターの種類によっては、置いた瞬間にピッとなるものもあり、更新完了の合図ではないので注意が必要です。
「検査標章」は、複合機の「手差し」の部分を事前に設定済み、テストで印刷される向きも確認済みだったので、問題なく印刷することができました。
続けて、「自動車検査証記録事項」、「リコール情報」、「作業実績一覧」なども問題なく、事前に設定していた複合機の「トレイ」から印刷をすることができました。
「自動車検査証記録事項」で、有効期間の満了する日を確認、また「車検証閲覧アプリ」でも念のため情報を確認し、無事に満了日の書き換えを行う事ができました。
継続OSS申請→記録事務代行完了までの時間は
継続OSS申請の状況(OSSIFの遷移状況)、申請代理人等の操作にも左右され、また、各手数料・税種別による納付の状況によってかかる時間※が異なります。記録事務代行作業は24時間対応可能でも、継続OSS申請による運輸支局等の審査自体は、月曜日から金曜日(祝日及び年末年始を除く)の原則8時30から17時の間となるので、注意が必要です。
OSSIF(ワンストップサービスインターフェース)では、一定の周期でステータスが遷移、また私たちがソフト的には直接確認をすることは出来ない、自動車税納付確認システム(JNKS)等も繋がっています。
弊社の経験だと平均して、
■「検査登録手数料」のみ納付する大型特殊自動車等で15分ほど
■「検査登録手数料」、「技術情報管理手数料」のみ納付するトレーラ等で30分ほど
■「検査登録手数料」、「技術情報管理手数料」、「自動車重量税」全て納付する必要のある車両で45分ほど
■それぞれの上記申請時間に加えて、「記録事務代行」作業で10分ほど
AINASの日時を確認しての判断となります。概ね最長でも60分以内には、全て完了できると感じました。
とは言え、審査の状況次第では全ての税等を納付する場合でも30分ほどで審査が完了した例もあります。
※2023/01現在で、弊社の環境において
申請代理人:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 長野支部
申請先:国土交通省北陸信越運輸局長野運輸支局松本自動車検査登録事務所
車検(継続検査)における記録等事務代行の勘所は
1,何を置いても継続OSSへの対応
指定整備事業者の場合、ここが対応出来ていないと「特定記録等事務代行者」となっても、書き換えのメリットを自社で受けることができないので、必須です。
また継続OSSは、自賠責の電子化を皮切りに、AIRASとAINASを制御し、整備業務ソフトのクラウド型から申請できるなど、対応方法が様々あるので、自社に合わせたソフトを見つけ、いかに活用できるかが肝になります。
エラーが起きたとき、どこにエラーがありどう対処すれば良いか、OSS申請のインターフェースは、様々繋がっているので、申請を行って経験値を増やし、感覚的にも何が行われているのかを理解することが大切だと感じています。
2,ログインの方法を決めて、それぞれ対応する
アプリのログインに「マイナンバーカード」または「GビズID」を使用する必要があります。それぞれ事前に確認し、準備を行っておくことで、「記録事務代行アプリ」の設定を滞りなく行う事ができます。
3,事前の記録事務代行アプリ設定(ユーザー管理と機器設定)
記録等事務代行者のアカウントでは書き換え作業等が出来ないので、代行管理作業者、代行作業者など自社の体制によって登録が必要になります。上記にも記載しましたが多要素認証方法としてログインに、「マイナンバーカードと連携」または、「GビズIDアカウントと連携」のどちらか設定が必要です。合わせて「機器設定」では、「リーダーライターの設定」、「検査標章印刷用プリンターの設定」、「帳票(A4普通紙)印刷用プリンターの設定」を行い各テストを行って動作確認が必須となります。このテストを行って、どのように印刷されるかなどを把握しておくことで、実際の作業時に、印刷ミスを減らす事ができると感じました。
4,記録事務代行アプリ操作説明書を一読する
いろいろな事に慣れてくると説明書と名のつく物は、見ないで事を進めることもできるのですが、行政から委託をうけて行う重要な作業であり、且つ自社で対応しなければならない作業なので、一読は最低必須ではないでしょうか。
記録等事務代行は重責を伴う業務
事前の準備をしっかり行い、設定等がしっかり出来ていれば、継続OSS申請後の「記録事務代行」で行う、継続検査(車検)の有効期間満了日の書き換えや、検査標章印刷、帳票類の印刷は、丁寧に指示に従って行えば、スムーズに行う事ができます。
しかし、いままで運輸支局等の行政でしか行えず、発行の出来なかった行為を、自社で行う事ができるようになった重みを、各印刷物を確認しながら感じました。
本年度でも各種手続きのタイミングによって電子車検証が発行され、車検時にすでに電子車検証の場合は、「記録事務代行」を行う事が出来るので、重責の作業であることを代行作業者たちで確認しながら進めてまいります。
整備が終わっても制度を理解しないと出庫ができない!?
今回の「記録事務代行」が指定整備工場で行えることによって、相当な利便性向上であると同時に、各状況の全体像が把握出来ないと、ともすれば整備作業が終わっているのに、申請を完了することができず、車両を出庫することが出来ない状況も出てくるかもしれません。
申請者である「依頼人」として、継続OSS申請をおこない、最終的には「特定記録等事務代行者」として電子車検証の書き換え等を行う。継続OSSへいかに対応し、制御できるかどうかが、「記録事務代行」へと続く、「指定工場としての勘所」であると感じています。